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宮崎駿、百田尚樹の『永遠の0』を「嘘八百の架空戦記」と痛烈批判!

2013.09.27 14:04|宮崎駿
風立ちぬ

9月6日、引退会見を行ったアニメ界の巨匠・宮崎駿監督の最後の作品となった『風立ちぬ』(東宝)は興行収入100億円を超え、観客動員数は1000万人を突破するなど現在も大ヒット記録を更新中です。

ところが、映画人生の有終の美を飾ろうとしている宮崎監督が、「『風立ちぬ』と同じ“零戦”をテーマにした“あの作品”を猛批判している」と報じられ話題になっているのですよ。それは、2013年8月19日発売の『CUT』(ロッキング・オン/9月号)に掲載されたロングインタビューでのこと。以下にその箇所を引用してみます。


「今、零戦の映画企画があるらしいですけど、それは嘘八百を書いた架空戦記を基にして、零戦の物語をつくろうとしてるんです。神話の捏造をまだ続けようとしている。『零戦で誇りを持とう』とかね。それが僕は頭にきてたんです。子供の頃からずーっと!」

「相変わらずバカがいっぱい出てきて、零戦がどうのこうのって幻影を撒き散らしたりね。戦艦大和もそうです。負けた戦争なのに」



宮崎監督がここで挙げている「零戦の物語」というのは、どう考えても人気作家・百田尚樹の原作で、12月に映画が公開される『永遠の0』(東宝)のことだと思われます。この本は特攻で戦死した零戦パイロットの生涯を描いた小説で、文庫本は歴代1位となる累計250万部超のベストセラーとなっており、更に映画版の予告編は『風立ちぬ』の前に流れるなど、『風立ちぬ』と関連のある話題作なのです。しかし宮崎監督はよほど腹に据えかねていたのか、このインタビューで“零戦神話”を徹底的に糾弾。

「戦後アメリカの議会で、零戦が話題に出たっていうことが漏れきこえてきて、コンプレックスの塊だった連中の一部が、『零戦はすごかったんだ』って話をしはじめたんです。そして、いろんな人間が戦記ものを書くようになるんですけど、これはほとんどが嘘の塊です」と、『永遠の0』をはじめとする零戦賛美の作品をこき下ろしているのですよ。

もちろん、自身が『風立ちぬ』で基にした零戦設計者・堀越二郎の戦争責任についても言及しています。堀越の著書である『零戦』は共著であり、もう一人の執筆者が太平洋戦争で航空参謀だった奥宮正武だったことから、「堀越さんは自分ではそういうものを書くつもりはなかったけど、説得されて、歴史的な資料として残しておいたほうがいいんじゃないかっていうことで、書いたんだと思うんですけど」と前置きし、「堀越さんの書いた文章っていうのは、いろんなとこに配慮しなきゃいけないから、本当のことは書かないんだけど、戦争責任はあるようだけれども自分にはないと思うって書いています。面白いでしょう?僕はこの人は本当にそういうふうに思った人だと思います」と弁護。

更に、「僕は思春期の頃、親父と戦争協力者じゃないかってもめた経験があるんですけど。そうやって断罪していくと、ほとんどの人が戦争協力者だと言わざるをえない。隣の韓国とか北朝鮮とか中国とかフィリピンとかインドネシアとかね、そういう側から考えると、それは加害者であるという」と話し、「職業をもつということは、どうしても加担するという側面を持っている。それはもうモダニズムそのものの中に入ってるんだと思ってるんです」と、到底美談では語れない戦争の加害性について論及していました。

確かに同じ零戦をテーマとして扱っているとはいえ、宮崎さんと百田さんとはその政治的スタンスがまったく真逆なのです。宮崎さんは憲法改正反対論者で、一方の百田さんはほとんど“右派論客”といってもいいほどの活躍を見せているのですから。

百田さんは今年6月、朝日新聞で自身の作品が「右傾エンタメ」「愛国エンタメ」と評されたことに激怒し、苛烈に反論していましたが、一方で首相再任前の安倍晋三との対談では「もう一度、自民党総裁選に出馬して総理を目指してもらいたい」と背中を押し、保守系論壇人である渡部昇一との対談でも、「安倍政権では、もっとも大きな政策課題として憲法改正に取り組み、軍隊創設への道筋を作っていかねばなりません」と語るなど、政治的発言を連発。朝日批判の際も「自虐史観とは大東亜戦争にまつわるすべてを『とにかく日本が悪かった』とする歴史観です」とネトウヨ(ネット右翼)が大喜びしそうなツイートを連発していました。

宮崎監督があえてインタビューで『永遠の0』批判を繰り出したのは、戦争を肯定する百田さんと一緒にされるのが耐えられなかったからなのかもしれません(実際、『永遠の0』を「戦争賛美だ!」と批判する声も多数ある)。

しかし、一方の百田さんは宮崎監督の『風立ちぬ』に対し、「ラストで零戦が現れたとき、思わず声が出てしまった。そのあとの主人公のセリフに涙が出た。本当に素晴らしいアニメだった」と大絶賛。反戦主義の宮崎さんが零戦映画を製作したことで、方向転換したと思い喜んだものの、見事にはね返された格好ですね。そして、今回の宮崎監督の発言は百田さんの耳にも届いたらしく、ツイッターで以下のようなつぶやきを投稿していました。







どうやら「嘘八百の架空戦記」と罵られたという記事が拡散していることに対して、かなりナーバスになっているようです。百田さんは『風立ちぬ』を観て涙を流すほど感激していたようですが、だからこそ余計に今回の批判はショックだったんでしょうねえ。なんだかちょっと可愛そう……(-_-;)


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