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『天空の城ラピュタ』制作秘話!実は『ふしぎの海のナディア』が元ネタだった?

2013.08.02 13:39|宮崎駿
天空の城ラピュタ

■ストーリー『ある夜、飛行中の大型飛行船を空賊ドーラ一家が襲撃。政府特務機関に捕らわれていた少女シータは、混乱に紛れて指揮官であるムスカ大佐を気絶させると、彼の懐から青い石のペンダントを取り返す。しかし、窓を伝って逃げようとした時、シータは客船から転落。雲間を落ちていく中、胸にかかっていたペンダントが突然光を放ち、シータは光に包まれゆっくりと降下していった。その頃、鉱山町で働く少年パズーは、空から降りてきたシータを目撃、驚きつつも自宅にかくまう。パズーの亡父は冒険家だったが、かつて、空に浮かぶ城「ラピュタ」を見ていた。そしてシータがラピュタ人の子孫であることと、シータ が持っているペンダントの石は「飛行石」であることを知るに至って、パズーはラピュタの実在を確信する。だが、その直後に政府の軍隊が現れ、シータは捕らわれてしまった。果たしてパズーは彼女を助け出すことができるのか?そして「飛行石」に隠された驚愕の秘密とは?スウィフトの「ガリバー旅行記」をモチーフに、宮崎駿がオリジナル原案で描いたアクション・アドベンチャー!』



本日は金曜ロードショーで宮崎駿監督作品『天空の城ラピュタ』が放映されます。これに対してネット上では「ラピュタ何回目だよ」、「ラピュタは滅びぬ!何度でも蘇るさ!」、「お前らのラピュタ好きは異常」、「3分間待ってやる」、「バルスキター!」など、これまで繰り返しテレビ放映されているにもかかわらず、それを感じさせない盛り上がりを見せています。

なぜなら、過去に地上波で『ラピュタ』が放映されるたびに、2ちゃんねるの関連スレッドには大量の書き込みが投稿され、「人がゴミのようだ!」というムスカの名セリフの後に迎えるクライマックスで熱狂はピークに達し、パズーとシータが滅びの呪文「バルス」を唱えた瞬間、ユーザーが一斉に「バルス!」と書き込み、その負荷に耐え切れず関連板のサーバーがダウンする、という一連の流れが毎回の恒例行事(?)となっているからです。

また、前回(2011年12月)の放送時には、ツイッターでなんと毎秒2万5088もの「バルス!」がツイートされ、世界最高記録(当時)を樹立したことでも話題となりました。現在この記録は13年1月の「あけおめ」ツイート(毎秒3万3388ツイート)によって破られてしまいましたが、ニコニコ動画では「バルス祭り」と題した特別イベントを開設し、世界記録の更なる更新を狙っているようです。

某国からの総攻撃にも耐え抜いた堅牢な2ちゃんねるのサーバーですら一撃で陥落させる脅威の呪文「バルス」(これってもう、一種のサイバーテロじゃないの?)。果たして今回もサーバーは落ちるのか?それとも耐え切るのか?結末やいかに!

という話とは関係なく、本日は『天空の城ラピュタ』の制作裏話についてまったりと書いてみますよ。
ファンの間では有名な話ですが、もともと『天空の城ラピュタ』のストーリーは、「『ふしぎの海のナディア』を作るために宮崎駿が考えた原案が元ネタ」と言われていました。具体的には、『風の谷のナウシカ』の作業が終わった後、宮崎監督はNHKが企画した『海底世界一周』というテレビアニメのプロジェクトに参加し、その時に原案とイメージボードを提出したのだそうです。この時の原案は、不思議な力を持ったペンダント(飛行石?)が出てきたり、そのペンダントを狙う盗賊団がお婆さんとその息子たち(ドーラ?)だったりと、『ラピュタ』にそっくりな内容でした。

この企画は一旦保留になりますが、その後『ラピュタ』が劇場公開 → それを観たNHKが『海底世界一周』の企画を再検討 → タイトルが『ふしぎの海のナディア』に変更される、という経緯を辿ったらしい。そしてこの企画は様々な会社を通じてガイナックスが製作を請け負うことになりました。

当初はキャラクター・デザインを担当した貞本義行が監督を務める予定だったものの、あまりにも『ラピュタ』にそっくりな内容に思わず、「これ、『ラピュタ』のパクリですよね?」と言ってしまい、NHKの偉い人が大激怒!結局、庵野秀明が監督することになってしまいました。

しかし、「『ラピュタ』のパクリだ!」と言われることを嫌がった庵野監督がNHK側に内緒で勝手にストーリーや設定を変更しまくった結果、現在の『ナディア』が出来上がったというわけなのです。まあ、どっちがどっちをパクったかという話ではなく、『ラピュタ』も『ナディア』も発案者は宮崎監督だった、ということですね。

ナディア

でも、実は宮崎さんは『ナウシカ』の後に「もう二度と映画は作りたくない!」と言っていました。なぜなら、作品の完成度を高めるためにはスタッフにも無理を強いる場合があり、その厳しさに耐え切れず大勢の人が宮崎さんの元を離れていったからです(実際、『ナウシカ』を作ったことで多くの友人を無くしたらしい)。そういう仕事は辛いからもうやりたくないんだと、宮崎さんは映画の制作を拒んでいました。

では、何が『ラピュタ』を制作するきっかけとなったのか?実は、宮崎監督の盟友:高畑勲さんのせいなのです。『ナウシカ』が大ヒットした時、徳間書店はすぐに『ナウシカ2』の制作を依頼しました。しかし、宮崎さんはこれを拒否し、代わりに『水の流れる街』という劇場用アニメの企画を提案。監督は高畑勲が担当し、宮崎駿は設定・レイアウト作成として参加する予定だったそうです。

ところが、ロケハンのために舞台となる福岡県柳川市を訪れた高畑監督が、市民の浄化運動でドブ川が綺麗になった状態を見て感激し、急遽「アニメーションではなくドキュメンタリー映画を撮ろう!」と決意。勝手に『柳川堀割物語』というタイトルの実写映画に変更してしまったのですよ。

しかし、「そんな映画に金が出せるか!」と徳間書店から出資を断られたため、しかたなく宮崎監督が『ナウシカ』で得た収入を丸ごと提供し、「自主製作映画」として撮影がスタート。宮崎さんとしては、『ナウシカ』でプロデューサーを引き受けてくれたことに対する高畑さんへの恩返しだったらしいのですが、あっという間に資金が底を尽き、撮影がストップしてしまいました。

困り果てた宮崎さんはプロデューサーの鈴木敏夫氏に「どうしよう?」と相談。それに対して鈴木さんが一言、「もう一本映画を作りましょう」。それを聞いて宮崎監督は「よし、分かった!」と言ってすぐに『ラピュタ』の企画書を持ってきました。鈴木さんは「なんでこんなに早いの?」と驚きますが、元々NHKで作ったネタを使い回しただけだったんですね。こうして『天空の城ラピュタ』の制作が決定したのです。

同じ頃、アニメ制作の拠点として「スタジオジブリ」が設立されました。『カリオストロ』や『ナウシカ』を作る時はよそでスタジオを借りていたのですが、「今後も継続してアニメーションを制作するのであれば専用のスタジオを作るべきだ」という高畑勲の要望により、1985年6月、徳間書店の出資によって会社が発足。そして『天空の城ラピュタ』がスタジオジブリの記念すべき第一作目の作品となったのです。

さて、めでたく制作が決まった『ラピュタ』のシナリオは、高畑さんと鈴木さんで内容を検討。しかし、最初に宮崎監督が書いた脚本は、ムスカを中心にストーリーが進行し、「ムスカの野望と挫折」を描いた”ムスカ物語”になっていました。高畑さんに「鈴木さん、これどう思う?」と意見を求められ、「シータとパズーの影が薄いですねえ」と答える鈴木氏。このままでは娯楽映画としてのインパクトが弱い、と考えた二人は揃って宮崎監督を説得。これにより、ストーリーが大幅に変更されたそうです(”ムスカ物語”も観てみたかった気はするけどw)。

また、高畑勲は映画のタイアップについても厳しくチェックしていました。当時、タイアップの契約書を電通が持ってくると、高畑さんはそれに全部目を通し、「これとこれとこれはダメですね」と順番に消していったのです。残ったのは「ロゴだけ使っていい」という条件のみ。つまり、宣伝で協力してもらうのに、「キャラクターを含め、あらゆる素材を自由に使わせない」という理不尽極まりない内容だったのですよ。当然、電通側は激怒しますが、高畑さんとしては「制作側が意図するものと違う要素を外に出されては困る」、つまり作品のイメージを守りたかったのです。

結局、『ラピュタ』では東芝と味の素がタイアップスポンサーに決定し、二社から多額のタイアップ費用をもらいました。しかし、この時に契約書の条件が問題になったのです。スポンサー側は「自社製品の宣伝に映画の素材を使わせろ」と要求。でも、ジブリ側は商品のキャラクターが映画になったと思われるのが嫌だから突っぱねる。タイアップはしたいけど作品のイメージは守りたい、というジレンマが発生したのです。

そこで販促に熱心な味の素は「ラピュタジュース」を発売する際、アニメのキャラではなく、なんと「実写版のラピュタCM」を作ってしまったのですよ。パズーとシータのコスプレをした外人の子役が、実物大のフラップターに乗って空を飛び回る特撮映像は、当時かなりのインパクトを放っていました。



味の素は他にも、NTTと組んで有料回線「ラピュタ・テレホンサービス」を開始したり、大阪のラジオ局と組んでラピュタ関連の情報を放送するなど、様々な宣伝活動を積極的に展開。しかし宣伝効果はいま一つで、大量のラピュタジュースが余ったそうです。

天空の城ラピュタ

そうこうしている内に宮崎監督の絵コンテも仕上がり、いよいよ本格的な作画作業に突入しました。スタジオジブリには続々と優秀なアニメーターが集結。メインスタッフは元テレコムや日本アニメーションの凄腕メンバーに『ナウシカ』の精鋭スタッフを加えた、文字通り「最強の布陣」となったのです。金田伊功は「原画頭」という本作だけの特別なポジションで参加。そして美術監督はベテランの山本二三。総作画枚数は69262枚にも達し、『ナウシカ』を1万3000枚も上回るとてつもない作業量となりました。

また、元ガイナックスのアニメーターで『トップをねらえ!』や『ナディア』にも参加していた前田真宏は、終盤のラピュタ崩壊場面を担当。ラピュタがバラバラに崩れ落ちる凄まじいクライマックスシーンを丁寧に作画しています。ちなみに、良く見るとこの場面には大量のガレキと一緒に落下するムスカの姿が!これはもちろん前田が描いたのですが、単なる遊びではなく、宮崎監督が絵コンテできちんと指定していたのだそうです。細かいなあ!

天空の城ラピュタ

そして、苦しい制作期間を経た後、ついに『天空の城ラピュタ』が完成!1986年8月2日に全国の洋画系103館で公開されました。しかし、最終的な興行成績は11億6000万円と『ナウシカ』の14億8000万円を下回ってしまうという残念な結果に…。宮崎監督はその原因として、「特別な能力を持っていない普通の少年を主人公に選んだからではないか」と分析しています。以下、「Cut」2009年12月号インタビュー記事より抜粋。

「たくさんの夢を抱きながら戦う少年を主人公にした冒険物語を作りたかったんです。ただ、実際に作ってみると、お客さんはそういう類の映画を観に来てはくれないようだということが判明したんですよ。しばらく時間が経ってから、『ラピュタが大好きです!』と言ってくれる人はいましたが、公開当時はまったくお客さんが入りませんでした。女性の場合はそこにいるだけでキャラクターとして成り立つんですが、男性のキャラクターを成立させるためには社会的な立場や地位、もしくは何らかの宿命を背負っているといった、目に見えない何かが必要なんです。だから、パズーのような普通の労働少年を主人公にした映画で、劇場まで足を運んでもらうというのはかなりキツかった」


う~ん、一流のスタッフを配置し、作画的にも内容的にもクオリティの高い映画だと思うのですが、それでもヒットしないものなんですねえ。ただ、『ラピュタ』はその後テレビ放映やビデオ販売を通じて徐々に知名度を上げていき、現在では圧倒的な評価を獲得しています。『魔女の宅急便』で主題歌を担当した松任谷由美や『ハウルの動く城』の倍賞千恵子らは、『ラピュタ』を観て宮崎アニメの大ファンになり、協力を快諾したのだそうです。本当に優れた作品とは、どんなに時間が掛かっても最終的に多くの人の心をとらえるものなんですね。

尚、当初の予定では『ラピュタ』には主題歌がありませんでした。しかし、制作作業が終盤に差し掛かった頃、突然高畑さんが「映画を観終わったお客さんに穏やかな気持ちで反芻してもらいたい。そのためには最後に歌が必要だ」などと言い出し、急遽エンディングに主題歌を入れることが決まったのです。ところが、時間が無かったので作詞は宮崎監督本人が書くことになってしまいました。更に、完成のタイミングがあまりにもギリギリだったため、シングルレコードの発売が間に合わず、サウンドトラックへ収録されることに。名曲「君をのせて」は、こうしたドタバタの末に誕生したのだそうです。なんか、『ラピュタ』に関するトラブルは全部高畑勲さんが原因のような気がするなあ(笑)。

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